懐かしい昔にタイムトラベル 大和市「郷土民家園」

この郷愁ただようポスターを、街の掲示板で見かけて釘付けになり、「郷土民家園」?はてな?
どこにあるのかしら?と調べたところ、よく散歩で行っていた「泉の森」そばにありました。気付いていませんでした!

ポスターの写真を見たときに、母の実家いわゆる「おばあちゃんち」を懐かしく思い出しました。

懐かしい雰囲気

入園料はうれしい無料です。2棟の古民家「旧小川家」と「旧北島家」が移築復元されています。どちらも市の指定重要有形文化財とのことです。中では昔の暮らしについて学んだり、体験することができます。

旧小川家へ

入園口から近い、「旧小川家」からおじゃましてみます。

ああ!懐かしい!おばあちゃんちも、だいたいこんな感じでした。親戚みんなで集まって大騒ぎだったなあ。

大和市でいちばん古い家

間取りの説明があります。すごくシンプルですね。18世紀前半に建てられたということは、2~300年前!

建築模型もありました。今の間取りでいうと3Kみたいな感じでしょうか。

昔の道具が飾られています。他にも土壁や設備の説明が展示されており、昔の暮らしについて学べます。

この日はお盆の季節というのもあって、「盆棚」の展示がありました。

ホオズキの香りがします。嗅いだのは何十年も前のこと、懐かしいです。真っ赤な色もキレイです。

茅葺き(かやぶき)の屋根、間近で見ると迫力があります。人力で作られているんですよね。こちらは職人さんの手で葺き替え(ふきかえ)られているそうです。母の子ども時代は、家族のみんなで作業したと聞いたことがあります。なんでも自分たちでやる昔の人のすごさも感じます。

入園口から右手のあたりに、「茅葺き写真展」の展示もありました。
ウェブ展示もあるようなので、興味のある方は「大和市 茅葺き写真展」で検索するとPDFファイルで葺き替えの様子を見ることができます!写真と説明を読むと、職人さんの手仕事の素晴らしさに感服します。

家の中の渋い薄暗さと、夏の外のコントラストが映えます。昔の家は窓が少ないそうで、この独特の薄暗さが落ち着きをもたらしているのかもしれません。

「お盆の砂盛り」も飾られていました。ご先祖様帰ってこられたかな。

旧北島家へ

続いて、「旧北島家」におじゃまします。

旧北島家は大きなおうちですね。展示資料に「旧小川家より約100年新しい」と書いてあります。紙の資料によると「ダイドコロとザシキの堺に大黒柱がある」とのこと。養蚕農家だったそうで、カイコさんを育てるための2階・3階が上にあります。

旧北島家にも建築模型がありました。旧小川家より現代風です。概要ですが「大黒柱のおかげで柱を減らすことができ、家が広く造れるようになった」と、資料にありました。技術が進歩しているんですね。3Kから4Kになった感じでしょうか。

ここで育てられたカイコさんの繭も展示されていました。もう少し前だったら飼育中のカイコさんも見ることができたようです。

1階の天井からカイコさんを飼育していたであろう2階が見えます。通風をよくするため、天井がスノコのようになっているそうです。残念ながら、上の階に行くことはできませんでした。

織り機も展示されていました。

実はワタクシ、趣味で織りと糸紡ぎをたどたどしくやっており、そこから絹糸に興味が広がって、今年の「郷土民家園」のイベントのひとつ「カイコを知ろう」という教室に、前月参加していました。

当日の会場には、親御さんと一緒に子どもたちがたくさん!夏休みの宿題も兼ねていたのか!と行ってから気づきました。大人のみは私だけ。すっかり趣味の一環のつもりだったので、ちょっと恥ずかしかったですが、とても興味深く勉強になりました。

教室終了後、2齢(卵から生まれて6~8日くらい)のカイコさんを参加者全員にわけてくださり、私は17頭いただいて自宅で育てました。途中、6頭お亡くなりになってしまいゴメンナサイだったのですが、いただいた日より18日~20日くらいで11頭のカイコさんは立派に繭を作り、糸を取り出すところまで体験できました。

本当にけなげに一心に桑の葉を食べ、命の全てをしぼりだすように糸を吐いて繭を作る姿に、生命の基本姿勢を教えてもらいました。カイコさんの美しい糸には、いたく感動しました。貴重な体験になり参加してよかったです。

「郷土民家園」のイベントは、年間を通して他にもいろいろあるので、「郷土民家園 イベント」で検索してみてください!

「蚊帳吊り」の展示もありました。薄く透ける様子が、カイコさんの繭を思わせました。風流です。

縁側の雰囲気が懐かしい!親戚みんなでスイカ割りしたり、バーベキューや花火をした夏休みを思い出します。

タタミが心地よいです。少し前に、ここでくつろぐ方もおられました。

歩くと床がきしむ音が、昔の思い出をよみがえらせます。

囲炉裏の灰の香り。懐かしさで泣きそうになりました。おばあちゃんち、この匂いしてたなあ。

さわやかな桑の木

「郷土民家園」の裏手にある桑の木。「カイコを知ろう」教室の参加証明書を持っている場合に限り、飼育のために葉を採取することができました。脱皮前後は、すごい勢いで食べるので、週に1~2回採取に伺いました。

カイコさんの体長も7センチくらいになり、なんとなくポッチャリしてきたころ、与えたそばから葉っぱがすぐ葉脈だけになってしまい、あわてて採取に伺った日もありました。

郷土民家園の方が「そろそろ繭を作り始めたでしょう」と気にかけてくれて「うちの子たちはまだですね~」なんてお話した日、帰宅してみるとなんと繭を作り始めていました。

繭を作る直前の食欲は驚くほど旺盛で、あんなにモリモリ食べていた桑の葉も、こうなるともう食べることがありません。カイコさんがお腹をすかせていると思い、たくさん持ってきてしまった桑の葉は、乾燥させお茶にしていただいてみました。爽やかでおいしいお味でした。体にも良いみたいです。

郷土民家園の周りではセミがたくさん鳴いていて、風鈴と共に夏の空と調和していました。
忙しい日々から離れて、のんびりした昔に戻りたいなあ…なんて思った時には、ぜひ「郷土民家園」を訪れてみてください。懐かしさが心にしみるタイムトラベルができますよ。

郷土民家園
住所:神奈川県大和市上草柳1728番地
交通:相模鉄道線 「相模大塚駅」徒歩15分、小田急江ノ島線・相模鉄道線「大和駅」徒歩25分、小田急江ノ島線「鶴間駅」徒歩25分
電話:046-264-6633(自然観察センター・しらかしのいえ)
営業時間:9:00~16:00(7月21日~8月31日は17:00時まで)
定休日:月曜日・年末年始(12/29~1/3)(月曜日が休日の場合はその翌平日)
駐車場有

※記載情報は取材当時のものです。変更している場合もありますので、ご利用前に公式サイト等でご確認ください。