ギラギラ輝く太陽にうんざり。
でも、毎日クーラーの効いたお部屋にいるのって、なんか健康的じゃない。
外なんだけど日影が多くて、見渡せるくらいの広さで自然に癒される場所、近くにほしい!
そんなあなたにぴったりなのが、中央林間にある「多胡記念公園」。緑いっぱいの空間で心がほっとするのはもちろん、多胡夫妻のステキな想いが、ぎゅっと詰まった場所なんです。
知れば知るほど、「行ってみたい!」って思えるはず。今日はその魅力をたっぷりお届けします!
多胡記念公園ってどんな場所?

中央林間駅から御菓子司「三吉野」さんの前を過ぎてほんの少し歩くと、道の途中に緑豊かな一角が見えてきます。

夏でも心地の良い風がすうーっと通る感じ。
風に色があるなら、やわらかい「うす緑色の風」が吹いているようなそんな場所。
そこが「多胡記念公園」です。
多胡夫妻のロマンティックな想いがたっぷり

多胡記念公園は、ただの緑豊かなだけの公園ではありません。そこには、多胡三代治さんと奥様・キヨさんの深い愛と想いが詰まっています。
多胡夫妻が中央林間へ移住したのは、戦後間もない1950年。病弱な妻のキヨさんのために東京から緑の多い中央林間を選んだというのですから、三代治さんは相当な奥様想いだったようです。

以来、90歳までの長い命を得られたのは、中央林間の豊かな緑によるもの。
そう考えたご夫妻は、「この緑を未来に残したい」という想いをこめて、1990年12月に公園を含む広大な自宅を大和市に寄贈したのです。
土地寄贈の翌年、亡くなられた奥様。その奥様が生前「庭に茶室を」と望まれていたことから、当時90歳を超えていた三代治さんが、その想いを形に……。それが公園内の書院と茶室「慈緑庵」。
こんなエピソードを知ると、散歩しているだけでもなんだか心がほわほわします。
身近な木々に囲まれる癒し空間

公園というと、きれいなお花や緑が美しい木々だけのことが多いもの。もちろん、ここにもコナラ、梅、桜などの木々がたくさんあります。
そんな中、実は果物の木々もあちらこちらに。おかげで、普通の公園とは違って、アットホームな庭木たちに癒されます。
緑に包まれてリフレッシュ

夏、公園に足を踏み入れると、すぐに感じるのが緑の濃さ!コナラなどの木々の葉が生い茂っていて、公園の中を守るかのように、日差しをさえぎってくれます。
灼熱のアスファルトから園内に入ってベンチに座ると、ホッと一息。
そこを涼しい風が通り抜け、体の熱が気化していくと、不思議と心も軽くなっていくのです。
春は柔らかな新緑、秋には紅葉した木々が赤や黄色に染まり、冬、葉を落とした枝の間から青空が見える清々しい景色。四季を通して、いつでも楽しめる公園です!
果実を探すワクワク感がうれしい

いろいろな楽しみがある中、季節ごとにいろんな果実を見つけられるというのも、この公園のステキなところ。
春から夏にかけては、びわの実がたわわに実って「ここにいるよ!」って言わんばかりに葉っぱの間から顔を出します。そこへ鳥たちもこんにちはとお相伴に。

秋になると柿が鮮やかなオレンジ色で木に実ります。もちろん、栗やどんぐりも楽しい秋の贈り物。冬の橙(だいだい)は、ピリッとした寒さの中のビタミンカラー。見るだけで元気が出てきます。
散歩しながら、「今年はどのくらい実ってるかな〜」って探すのは、密かな楽しみとおいう方も多いかも。小さな子どもがいたら、一緒に木の実を探すのもきっとステキな思い出になるだろうと思います。
慈緑庵で味わう、和の美と多胡夫妻の愛

多胡記念公園の中で、ひっそりと存在感を放っているのが「慈緑庵」。ただの和風建物じゃなく、ここは本格的な茶室です。心地よい緊張感と空間が住宅街に。
茶室としての本格的な趣

小さな木の扉は、静かなお茶の世界への入口。

茶庭には、茶室に向かう心構えを感じさせる手水鉢(ちょうずばち)、蹲踞(つくばい)があります。

それから、回り込んで客が入るための小さな入り口である躙口(にじりぐち)。
この経路を通るだけでも、茶席へのワクワク感がわき上がってくるはずです。
意外な広さと本格的な台目畳

中に入るとまず驚くのが、茶室なのに4畳半というゆったりした広さ。
茶室って狭い苦しいイメージがありますが、ここは「えっ、思ったより広い!」と感じる方も多いはず。

そして、この空間をすっきりと引き締めるのが「台目畳(だいめだたみ)」(左)。これは通常の畳より少し小さめで、亭主の所作をすっきり見せる工夫がされているんです。
また、床の間(右)も畳敷きで、自然木の床柱が立ち、掛け軸がかかっている様子は、本格的ながらも優しい空気を感じます。
おもてなしの心が詰まった優しい空間

障子越しに差し込む光がとにかく優しくて、外の緑がほんのり透けて見えます。
天井も茶室独特の「侘び寂び(わびさび)」を感じさせるつくりです。

まるで山の中の小屋に招かれたような、特別な感じ。それなのにくつろげるような。
これが茶道における「おもてなしの心」なのかもしれません。
書院で出会う文化と「緑乃精」の物語

この世代の方には珍しいのではないかと思えるほど、三代治さんは奥様LOVE!
しかもその表現がストレート。
ロマンチストな三代治さんが、奥様に向けた言葉は石碑や銅像となって園内の随所にあります。書院から見える「緑乃精」もそんなステキな物語。
緑に溶け込む和の空間

公園に入ってすぐにあるのが「書院」。外観は落ち着いた和風で、畳敷きのお部屋と板敷きの廊下があって、ステキな和風空間が広がっています。

縁側に座って外を眺めていると、風が木々を揺らす音や、鳥のさえずりが心にすーっと入ってきて、「ここに来てよかったなぁ」としみじみ思います。
縁側から見える緑乃精の像

書院の縁側から眺められるのが「緑乃精(みどりのせい)」の像。
少女が左手を天に伸ばし、右手を絡めながら遠くを見つめる姿がとても印象的です。
この像は、多胡三代治さんが「緑を愛した奥様」をイメージして作らせたものだそうです。その台座には……

多胡チヨハ自然ヲ愛シ
自然ト共二生キ
愛ヲ地上二残ス
緑ハ生命ノ泉ナリ
平成七年三月吉祥日 多胡三代治
三代治さんのあまりにもまっすぐな奥様を想う気持ちに、ちょっと照れちゃいそうです。
でも、本当に羨ましいぐらいにステキ!
心のデトックスにおすすめ

私が好きなのは、人の少ない午後の昼下がり。
エアコンなしでも、日影にほんのり涼しい風が吹いて心地いいんです。
さわさわと葉ずれの音、木漏れ日のやわらかい光。
果実を探したり、多胡夫妻の銅像にそっと挨拶したり……。
そんな小さな楽しみを見つけるのが、この公園の醍醐味!
それだけで、満たされる感じがします。
もし機会があれば、慈緑庵や書院もぜひ入ってみてください。季節ごとに表情を変える庭の景色や、文化に触れる展示は、公園の散歩をより豊かにしてくれます。
緑の宝物はすぐそばに

中央林間にある多胡記念公園は、派手さはないけれど、緑に癒され、多胡夫妻の深い愛に触れられる「緑の宝物」のような場所です。
慈緑庵という本格茶室、文化が息づく書院、季節ごとに彩りを変える果実や木々……。どれもが多胡夫妻の想いを伝えてくれて、訪れるたびに「来てよかった」と思える公園なんです。
「ちょっと気分転換したいな〜」と思ったとき、ぜひ多胡記念公園を歩いてみてください。きっとあなたも、自分だけの小さな宝物を見つけられるはずです!
多胡記念公園(書院・慈緑庵)
住所:神奈川県大和市中央林間5-17-3
アクセス:小田急江ノ島線「中央林間駅」から徒歩約5分
東急田園都市線「中央林間駅」から徒歩約5分
TEL:慈緑庵 046-276-5808
休園日:なし(公園部分)
<慈緑庵・書院に関する問合せ先>
慈緑庵(多胡記念公園内)
開館期間:1月4日-12月28日
休館日 :月曜日(月曜が祝日の場合はその翌日)
年末年始(12月29日-1月3日)
受付時間:9:00-17:00
貸出時間:9:00-20:30
駐車場:3台