「小林さんの直売所」は相鉄線沿い、線路を前にしてたたずむ、大和駅と瀬谷駅の間にある直売所です。
すぐ横には畑が広がり、風にそよぐ葉の音や、土の香りまで伝わってくるような、作り手の息づかいを身近に感じられる場所です。

通るのが楽しみになる、日常のちょっとした寄り道スポット
11月末、畑には、いきいきとした冬野菜がたくさんならんでいました。
その少し先には、小さな直売所が見えてきます。(瀬谷方面から大和方面へ向かう場合)

この直売所は、野菜を買うだけでなく、生産者とのあたたかい繋がりを感じられる、日常のちょっとした楽しみをもたらしてくれる場所です。

前を通るたびに、「今日はどんな野菜がならんでいるかな」「今は販売しているかな」と、ついワクワクしながらのぞいてしまいます。
この日は、小林さんのご自宅のお庭で採れたキウイフルーツもならんでいて、思わず目がとまりました。
ならんだ野菜や果物を選ぶ時間は、笑顔になるほど楽しく、心がふっと満たされるようなひとときです。

お休みの日もありますが、そんな時は「次の楽しみにしよう」と思いながら前を通ります。
家族で支える、地域に愛される直売所

営業時間は、おおむね平日の午前中。
畑からとれたての野菜が、そのまま直売所の棚にならべられます。

直売所の前にはちょっとしたスペースがあり、自転車や車をとめられます。
この日も、車や自転車で訪れる方が次々にやって来ていて、地域の人たちに親しまれている様子がよく伝わってきました。

この鮮度と大きさで、このお値段。
たっぷり手に入るのも、直売所ならではの魅力です。
さらに、手書きの値札があたたかみを添えて、やさしい雰囲気をつくっています。
小林さん(お母様と息子さん)が、その日いちばん食べ頃の野菜を畑から引き抜き、土を払い、ていねいに店頭にならべていきます。
ならべ終えたそばから野菜は次々と売れていきます。近隣で働く方が仕事の合間にふらりと立ち寄り、うれしそうに選んで買っていく人の姿も見られました。

その様子を間近で見ているうちに、「早く買わないと売り切れてしまいそう」と思い、わたしも慌てて自分の分を購入しました。
それだけ人気があるのは、この場所が地域の暮らしの中に深く根づいているからなのだと思います。
タイミングが良ければ、小林さんやお母様と直接会話ができ、おすすめの食べ方や、育てる苦労話などを聞けることもあります。
そうした何気ない交流が、訪れるたびにほっと心をゆるませてくれます。
種まきに込められた畑づくりの知恵

小林さんの直売所にならぶ野菜が、いつでもおいしい状態で販売されているのは、代々受け継がれてきた畑づくりの知恵があるからです。
大根やかぶなどの根菜は、収穫が一気に重ならないよう、種まきの時期を少しずつずらす工夫をされています。
こうした小さな調整が、季節の変化に合わせた安定した収穫につながっているのです。
自然とともに続いていく畑と家族がつないできた想い

この畑には水道がありません。 野菜たちは、人が水をかけるのを待つのではなく、自然に降る雨で育っています。
ほうれん草など、一部の野菜は暑さや水不足でうまく育たなかったといいますが、それも自然とともに歩む畑ならでは。
それでも、丁寧に手をかけて育てられた野菜には、力強さとやさしさの両方が感じられます。
直売所を未来へつなぐ大きな存在が、息子さんです。
一度は会社勤めをされていましたが、働く中で「やっぱり畑の仕事がしたい」という思いが強くなり、思い切って退職されたそうです。
現在はご家族と力を合わせ、畑づくりから販売までをていねいに続けています。
無人販売で支えられる、あたたかな信頼関係

直売所では、畑仕事などで店主が席を外す時間帯に、無人販売が行われています。
手づくりの集金箱に、購入した分の小銭をそっと入れる。
そんなシンプルな仕組みが自然と成り立つのは、作り手と地域の人たちとのあたたかい信頼があってこそです。
その一方で、小林さんは、
「お金を入れずに持って行かれてしまうことがあると、やっぱり悲しい気持ちになるんです」
と、やわらかくお話ししてくれました。
丹精込めて育てた野菜だからこそ、その言葉が胸に響きます。

買い物の際は、買い物袋と小銭を用意して行くと安心です。
みんなが気持ちよく利用できれば、この直売所のあたたかい魅力は、これからもずっと続いていきそうです。
12月からは品物が増えていくそうです。
ぜひ、おいしい冬野菜を手に取って、季節のめぐりを感じてみてください。
小林さんの直売所
住所:神奈川県大和市深見3201−6
アクセス:小田急江ノ島線・相鉄本線「大和駅」東出口から徒歩約20分
定休日:不定期
駐車場:なし(お店前駐車可)



















