大和天満宮は、大和市文化創造拠点「シリウス」の2階デッキ全体を境内とするめずらしい神社です。
シリウスのなかに神社があることは知っていましたが、実際に足を運んだことはありませんでした。
以前、深見神社を取材した際に、両社には同じルーツがあると聞き、ぜひ訪れてみたいと思いました。

大和天満宮の概要とアクセス

大和駅から歩いて行きやすく、図書館を利用したその足で気軽に参拝できる立地です。家族でシリウスを訪れた日や、調べものの合間にも、自然な流れで立ち寄ることができます。
拝殿は建物の2階にあり、エスカレーターや階段のほか、専用エレベーターで境内へ上がれます。ベビーカーや車イスでも無理なく参拝でき、高齢の方と一緒でも安心です。

私は外階段を使い、屋上庭園側から境内に向かいました。
お散歩コースのようでわくわくします。

階段を上がると屋上庭園があり、そのまま道沿いに進みます。
右手にはベンチがあり、植物に囲まれながらひと休みすることもできます。
開放的な雰囲気が心地よく、思わず深呼吸したくなる空間です。
ステキな散歩コースになると思いますので、こちらからの参拝もおすすめです。

デッキからは円形の境内が目に入ります。
背景にマンションが見えて、不思議な感じがしました。
神社は森に囲まれているもの、というイメージを持っていたからかもしれません。

先に進むと鳥居や手水舎も見渡せ、全体の様子を一望できます。
円形の神社を訪れたのは初めてで、とても興味深く感じました。
外周は、半分を緑の植栽に、もう半分を施設の建物に囲まれています。
都市のなかにありながら、神域だけがそっと浮かんでいるような印象を受けました。

手水舎で手を清めると、ひんやりとした水が心地よく感じられました。
新しい水が絶えず注がれ、清らかさが保たれています。
大和天満宮の歴史

大和天満宮のはじまりは、昭和20年の終戦直後にさかのぼります。
当時、厚木空神社には天照大神を祀る社殿と、戦没者を祀る社殿がありました。
地域の人々が話し合い、天照大神を祀る社殿を譲り受けて現在の地に安置したのが始まりです。

その後、氏子や神社関係者の協議により、学問の神・菅原道真公を祭神として迎えることが決まりました。
この祠は天満宮としての由緒を伝える存在で、参拝者は静かに手を合わせながら、その思いを感じることができます。
大和天満宮でおこなわれている催事

- 合格祈願祭
大和天満宮では、学業や資格試験の合格を願う参拝者のために、毎年12月の第3日曜日に合格祈願祭がおこなわれています。
祭りの中で設置される紅白の智の輪は、茅の輪の形を模した輪で、天満宮が菅原道真公を祀っていることにちなみ、”智の輪”と呼ばれています。
受験生は一礼してまっすぐ拝殿に向かって”智の輪”をくぐります。
これは、”一度で合格できるように”と神社の関係者が考えた参拝方法だそうです。
その他の参拝者は、通常通り八の字に回るようになっています。
”智の輪”オリジナルの紅白の色には、合格や就職、資格試験など、さまざまな願いが込められています。
(今回は実物を目にすることができませんでしたが、タウンニュースなどで確認できます。)

- 左義長祭
左義長祭は、身に付けていた御守りやお札を返納する際に、これまで守ってくださったことへの感謝の気持ちを込めておこなわれます。
大和天満宮では拝殿が建物内にあるため、境内で火を扱うことはできません。
そのため、火を使ったどんど焼きはおこなわず、神社と地域の方々が協力しながら、安全に配慮した形でお焚き上げをおこなっています。
回収や処理については、専門業者の協力のもとで対応しているそうです。
受験生の筆記用具や歳神様に供えられた正月飾りなど、さまざまな思いが込められた品々は、歳神様とともに天へ昇るように大切に扱われます。
こうした工夫から、神社と地域が一緒に伝統行事を守っていることが感じられます。

- 節分祭
節分祭では獅子舞が披露され、境内は和やかな雰囲気に包まれます。
私が訪れた際も、その様子を目にすることができました。

大和天満宮では、境内が石畳デッキであるため豆まきはおこなわれません。
その代わり、抽選会や福豆の手渡し配布がおこなわれます。
受験生向けには祈願成就や必勝祈願と書かれた福豆が準備され、一人ひとりに確実に手渡しされることが喜ばれています。
こうした地域密着型の工夫から、あたたかい思いや思いやりが伝わる行事になっています。
大和天満宮では、子どもに関わる七五三やお宮参りもおこなわれており、地域の人々にとって人生の節目を大切にする場所であることが伝わってきます。
静かな空間のなかに、地域とともに歩んできた時間が感じられる神社です。
境内の庭と手入れの美しさ

境内の庭や植栽は、専門の業者の方々によって手入れされ、植物の高さや形も整えられています。きちんと管理されている様子から、この場所が大切に守られていることが伝わり、自然と気持ちが癒されました。

取材の日、紅梅が咲き始めていました。
小ぶりな木にも梅の実がつくと聞き、花だけでなく実も楽しめることに、私は思わず感激しました。

取材から3週間後にまた参拝に訪れた時の紅梅の様子です。花がたくさん咲いていてうれしくなりました。

ご神事に使われるサカキは、庭園にあるものを用いるそうです。
葉が広がった形のよいものを選び、丁寧に整えて作られるとのことでした。
境内にあるものを大切に生かす姿勢に、静かな誠実さを感じます。
こうした細やかな管理があるからこそ、落ち着いた境内の美しさが保たれているのだと思いました。
拝殿前の「撫で牛」と参拝の祈り

拝殿前には撫で牛が置かれています。頭だけでなく、体のさまざまな箇所を撫でることで、体の悪いところが治るといわれています。
多くの参拝者が触れるため、色が少し薄くなっている部分も見られました。
撫で牛の頭を撫でた受験生や、試験を終えた方が感謝の気持ちを伝えにお礼参りに訪れることがあります。
神職の方々は、その報告を受けるたびに、とてもうれしく感じると話してくださいました。

大和天満宮には女性の宮司がいらっしゃり、全国的にもめずらしい存在です。
今回はお会いできませんでしたが、そのことを知ったとき、自然と関心を抱きました。
神社でお見かけする女性といえば巫女の姿を思い浮かべることが多かったため、宮司として神社を守られていると知り、新鮮な驚きがありました。
伝統ある神社の世界にも、さまざまなかたちが広がっているのだと感じました。
いつか宮司にお目にかかれる日を、楽しみにしています。
図書館帰りにふらりと立ち寄れる距離に、学問の神が鎮座していること。
その環境は、子どもを育てる世代にも、静かな時間を大切にしたい世代にも心強いものです。
日々の暮らしの延長線上にある参拝という習慣が、この街での生活をそっと豊かにしてくれるように感じました。
大和天満宮
住所:神奈川県大和市大和南 1-8-1大和市文化創造拠点「シリウス」M2階デッキ
アクセス:小田急江ノ島線・相鉄本線「大和駅」から徒歩約3分
TEL:046-264-0802(受付時間 10:00-15:00)
参拝可能時間:6:00-21:30
駐車場:専用駐車場なし
(大和市文化創造拠点「シリウス」地下1階 有料駐車場利用可能)




















