鶴間駅前48年、時間がゆっくり流れる「珈琲館マジョリカ」

エリア＆駅	神奈川県大和市鶴間小田急江ノ島線鶴間駅
カテゴリー	カフェグルメランチ

大和市での暮らしを想像するとき、住まいの広さや家賃、駅までの距離だけでは見えない部分が気になる人も多いはずです。毎日の生活の中で、どんな場所に立ち寄り、どんな人と出会い、どんな空気の中でコーヒーを飲むのか。
鶴間駅の近くにある喫茶店「マジョリカ」は、そんな日常の質を想像させてくれる一軒です。長く続いてきた理由が、店内のあちこちから伝わってきます。

鶴間駅からすぐ、変わらない日常の風景

鶴間駅の改札を出て東口から数分歩くと、どこか懐かしい外観が目に入ります。大きな看板があるわけではありませんが、昔ながらのたたずまいが目印になります。
通勤や通学で毎日駅を使う生活を考えたとき、帰り道に気軽に立ち寄れる場所があるのは大きな安心につながります。

子どもがいる家庭なら、平日は慌ただしく過ぎていきます。そんな中でも、駅の近くにほっとできる場所があるだけで、心に少し余裕が生まれます。
将来、子どもが成長して一人で電車を使うようになったときも、駅周辺に見守るような店がある環境は心強く感じられます。

長年お店を守り続けてきた店主が作る、やさしい空気

店内に入ると、約50年も変わらない場所を守ってきた店主が迎えてくれます。私が訪問した時は店主の親族の方がお手伝いをされていたようで、お二人でランチタイムの営業をされていました。
カウンター越しのやり取りは、どこか家族のような距離感があります。初来店でも緊張させない雰囲気があり、「初めてなんです」と伝えると、自然な笑顔で応じてくれます。

席へ案内されると、近所の人からいただいたというみかんを一つ、さりげなく出してくれました。こうした小さな気づかいから、このお店が地域の中で生きていると感じます。子どもがまだ小さい家庭にとっても年上の人と日常的に接する機会がある街は、どこか安心感があります。

サイフォンの音が教えてくれる、丁寧な一杯

マジョリカのコーヒーはサイフォンで淹れています。火にかけたお湯が上がり、豆と混ざり、ゆっくりと下がっていく様子は今ではあまり見かけなくなりました。その一連の動きを眺めていると、時間の流れが少し遅くなったように感じられます。

忙しない日々の中で、待つ時間さえ味になる体験は貴重です。鶴間での休日像が、ゆっくり輪郭を持ちます。

店内には焙煎する前の白い豆が置かれており、コーヒー好きなら思わず目が向きます。扱う量は多くなくても、一杯一杯に手をかける姿勢が伝わってきます。

スパイスがきいた名物カレーの記憶

ランチでいただいたのはカレーです。価格は800円。
ひと口でコクを感じ、後からピリッとした刺激が広がります。サラダとらっきょうと福神漬けが添えられ、安心する組み合わせです。柔らかく煮込まれたお肉がゴロゴロ入り、食べ応えも十分でした。

「辛さは大丈夫？」と気遣ってくれる店主の一言が、このお店らしさをあらわします。
肉は精肉店から取り寄せているそうで、初来店の他のお客さんも「肉がおいしい」とお話しされていました。長年通う常連にも、たまたま立ち寄った人にも、同じ味を出し続ける姿勢がうかがえます。

純喫茶の内装がつくる落ち着き

マジョリカの内装は、昔ながらの純喫茶そのものです。木目を生かした家具、やわらかい照明、長年使われてきた椅子。新しさはありませんが、落ち着いた空気があります。
流行に左右されない空間は、世代を問わず受け入れられます。

全席喫煙可能なので、小さな子どもと一緒の場合は利用する時間を選ぶ工夫が必要です。店主によると、14時を過ぎると客足が落ちつくとのことでしたので、小さなお子さん連れの方はその時間に訪問するといいかもしれません。
一方で、喫煙できる場所が減った今、愛煙家にとっては貴重な存在でもあります。街には、さまざまな人の居場所がある方が、全体として住みやすくなります。